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ダウン症の岩元綾さんが書かれた 「21番目のやさしさに」を読んで

ダウン症の岩元綾さんが書かれた 「21番目のやさしさに」を読んで_e0155168_101341.jpgここのところ溜まっていたものを処理していて、これまたたまっていた「読みたい本」も処理している。今回読み終えたのは、先日読み終えたダウン症のお子さんを持つご両親の本、「走り来れよ、吾娘よ」の娘さんである、岩元綾さんが書かれた本。

ほとんどの内容はご両親が書かれたものと重なるため、スイスイ読めてしまった。大学まで卒業されたのだから当たり前なのかもしれないが、ここまで文章が書けるダウン症の人というのは、やはり数少ないと思う。だからこそ、メディアでも大騒ぎされたのだろうけれど・・。

読み始めて少しのところで、私にはすごくひっかかることがあった。「命と向き合って - 命の選別、出生前診断に思う」というタイトルの章。トリプルマーカーテストという出産前に胎児の異常などを検査するものに対し、意見書を提出したという内容のもの。その意見書を提出した結果、
「妊婦さんに検査があることを知らせる必要はなく、検査を受けることを勧めるべきではない」
という見解がだされたとのこと。これに対し、
「綾さんはダウン症というハンディを対象に検査を強行することにおかしいと言いたいのです。」
と書いています。また、上記のような見解が出されたことに対して、とてもすばらしい・・とも。う~ん・・・。検査を知らせる必要がないということは、何にも知らない人はもしかしたら検査したいと思っても、しないまま出産ということもありえる・・ってことでしょ?う~ん。

私はこういった検査については、皆に知らせるべきだと思う。知った上で、チョイスするのが一番良いと思う。障害があるないにかかわらず、私は Pro-Life (プロライフ) ではなく、常に Pro-Choice (プロチョイス) であるべきだと思うからだ。障害を持った子どもを育てることは、健常児を育てることに +αであることは間違いない。そのようなハードルを全ての親が超えられるとは限らない。実際に、健常児を持った親による虐待のニュースだって後を絶たない・・。障害を持った子どもがその家庭に生まれないという確証はないが、障害を持っている子どもであったら虐待につながるキッカケはより多くなると思う。もちろん、障害とひとくくりにはできないし、障害のタイプや度合にも様々だから、状況は色々なのはわかる。でも、チョイスを与えられ、自分で選択した人は、その子をきちんと育てられるのではないか、と私は思う。逆に、検査の存在自体も知らずに、障害のある子が生まれた場合には、その確立は低くなるのではないか?と思う。Pro-Life の人は、命の大切さを主張するが、命が大切だからこそ、皆にチョイスを与え、慎重にチョイスしていかなくてはいけないのではないか、と思う。

アメリカでは高齢出産が多いため、羊水検査などは一般的に行われている。私はこれまでそれをダウン症という障害に対する差別だとは思ったことが無かった。その結果を知って、堕胎してしまう親も多くいるかもしれない。だが、堕胎してしまった親は皆、その決断をほいほいと下しているとは限らない。一生、心に残る決断としてその人の人生に意味があるものになると思う。また、その人達がダウン症やその障害をもった人達に対して差別するようになるとも限らないだろう。それにより、少し考える機会や障害に触れ合う機会を持ったことで、違う考えや気持ちを抱くようになることもあるのではないか?

「とんでもない、そんな子は育てられない」という親の基に生まれた子供が幸せになれるとは思えない。みなが強くないことも事実だし、障害児を育てることが大変なことも事実。それは、私達のような障害を持った人を家族に持ったものは、自然とわかると思う。人にチョイスを与えることで、苦しむ子供や親が減るのであれば、そのほうが私は良いと思う。「あ~、もう少し何とかしてあげればいいのに・・・」と感じる子供達を、みたことがあるのは私だけではないだろう。ただ、ここまできてしまうと、話しは Pro-life vs. Pro-Choice になってしまい、終わりが無い討論となってしまう。

もちろん、私が検査を受けていて、自分の子供に障害があるとわかっていたらどうしただろう。悩んで、悩んで、どうしただろう?障害の度合いがわからない故に、堕胎することをチョイスしていたかもしれない。そう考えたら、「検査をさせない」ということを勧めたいという気持ちもわかる。だが、障害を持った子を育てるということの大変さをしっているが故に、検査を受けた上で、自分で決断して選んだ人がやるべき仕事なのではないか、とも思う。

障害を持った子供の可能性をのばしてあげることができる親というのは、本当に頑張っている親だと思う。そういった意味で、綾さんのご両親やイ・ヒアさんのお母さんは、想像を超える努力と忍耐をもたれた方だと、障害を持った子どもを育てている私にはわかる。そんなことは皆ができることではない、ということも私にはわかる。また、そんなご両親であれば、検査を受けた後も、産むチョイスをしているのではないか?と私には思える。

検査をするとかしないということよりも、今の障害者が社会で置かれている立場に問題があるのではないか?今の世の中で障害をもった人が生きるということがどれだけ大変か、そこに問題があるのではないか、と私は思う。そこが改善されない限り、障害を持った子を育てたくない・・と思う人がいるのは、仕方ないのではないかと思う。
by imommy | 2010-08-19 09:30 | 障害
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